【資格取得】知財検定3級対応~特許法

知的財産管理技能検定の3級を、某資格の学校で勉強中です。

知識の定着や、情報共有の意味を込めてまとめているので、同じ勉強をしている人や興味を持った人達に見ていただけると幸いです。

以下、試験で狙われやすい特許法をまとめています(*´∇`*)

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実用新案法基礎知識を合わせてチェックすると、覚えやすいですφ(..)

プラス特許権の植物バージョンである種苗法基礎知識も一緒に押さえておきましょうo(`^´*)

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体系


「発明」をしてからの、特許権の流れはこのような感じです。
まずは全体像のイメージから(≧∇≦)b

「発明」の定義

特許法上の「発明」とは、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なもの」。
※穴埋め注意!
※発明が完成して、特許を受ける権利が発生

「自然法則を利用した」に該当しないものは、
  • 自然法則に反するもの
  • 自然法則それ自体
  • 人為的取り決め(暗号、コンピューター言語)

「技術」とは、一定の課題を達成するための客観性を有する具体的手段のこと。

「創作」とは、新規に作り出したもの(主観でOK)。

発明の種類は、
  • 物の発明(プログラム等の発明も含まれる)
  • 単純方法の発明
  • 物を生産する方法の発明

特許を受けるための要件

産業上の利用可能性とは、いずれかの産業分野(生産業ではない補助的産業や金融業などのサービス業も含まれる)において業としての発明の実施ができること。
※「人間を手術、治療又は診断する方法(医療行為)」は、産業上利用できない発明に該当。

「発明」の新規性とは「特許出願時において客観的に新しいこと」。

特許法29条1項での限定列挙(新規性を有しない発明)
  • 公知発明(公然知られた発明)→現実に誰かに発明が技術的に理解された事実が必要。
  • 公然実施発明(公然実施された発明)→発明の内容が技術的に理解されうる状態で実施された。
  • 刊行物公知発明(頒布された刊行物に記載された発明)→公衆に対して頒布により公開を目的として複製された文書、図面、写真、他情報伝達媒体(内容が見られてなくともOK)。
  • インターネット公知発明(電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明)→アクセスされていなくともOK。
「新規性」の判断基準
  • 特許出願時を基準とし、時・分まで問題とする。
  • 日本・外国を含め、世界の事実を基準とする。

「新規性喪失」の例外(特許法30条)
※適用を受けられるのは、特許を受ける権利を有する者。
  • 特許を受ける権利を有する者の意に反して公表されること。
意に反して発明が公表され、新規性が喪失した場合、新規性喪失した日から1年以内に出願をする。
  • 特許を受ける権利を有する者の行為に起因して公表されること。
自己の行為に起因して公表され、新規性が喪失した場合、
  • 特許出願と同時に、新規性喪失の例外の適用を受ける旨の書面を特許庁長官に提出すること。
  • 特許出願後30日以内に、新規性喪失の例外の適用を受けられることを証明する書面を特許庁長官に提出すること。

「発明」の進歩性とは、特許出願時において当業者(通常の知識を有する者)が、出願時の技術水準に基づき容易に発明することができない程度の困難性を意味する。
※不特許事由に該当するもの→公の秩序、善良な風俗又は公衆の衛生を害するおそれがある発明。

特許を受ける権利

特許を受ける権利は、自然人である発明者に発生。

※共同発明→二人以上の自然人が実質的に協力して発明(特許を受ける権利は共有)。
  • 特許出願は共有者全員で行う。
  • 共有者は、自己の持分の譲渡、仮専用実施権の設定、仮通常実施権の許諾について他の共有者全員の同意が必要

「職務発明」とは、会社に勤務する従業者等が、会社の仕事として研究・開発を行い、結果として完成した発明。
  • 会社には法定の通常実施権が発生。
  • 従業者等には特許を受ける権利が発生。
※従業者等が特許を受ける権利を会社に譲渡した場合、従業者等は会社から相当の利益を受けることができる。

特許出願手続

出願書類
  • 願書
  • 明細書(発明の名称、図面の簡単な説明、発明の詳細な説明)
※発明の詳細な説明には、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載する必要性あり。
  • 特許請求の範囲(明細書の「発明の詳細な説明」に記載したものであることが大前提。)
※特許権の積極的効力は技術的範囲の実施行為に及び、特許請求の範囲に基づく
  • 図面(任意提出。)
  • 要約書(チェックしやすくするためのもので、審査対象の書類ではない。)

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特許法試験問題はこのような感じです。
参考までに、ご確認下さい。
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○出願公開(特許法、商標法のみの制度)
出願公開制度とは、特許出願の日から1年6月を経過した特許庁に係属する全ての特許出願について、特許公報に掲載して一般公開する制度。
特許出願人によって出願公開請求書が提出されると、1年6月前でも公開される(出願公開の請求は取り下げ不可。)。

○出願審査の請求(特許法のみの制度。出願について実体審査を受けるために必要。)
何人も特許出願日から3年以内に請求可能(最短で出願と同時にできる。)。
出願審査の請求の取り下げは不可。

先願主義

「先願主義」とは、同一の発明や考案について二以上の出願があったとき、最先の出願人のみに特許権を付与する制度(重複特許を排除する目的。)。
先願と後願の発明者又は出願人の異同にかかわらず適用。
※時分までを問題とせず、現実の出願日を基準にして判断する。
※同日出願の場合、協議命令により定めた一の出願人のみが特許を受けられるが、協議がまとまらなければ二人とも特許を受けられない。

拒絶理由通知、拒絶査定、特許査定

○「拒絶理由通知」とは、特許庁から出願人へ通知される手続(拒絶理由は限定列挙され、拒絶理由通知を受けた出願人は、その理由を十分に検討し、拒絶理由の内容に応じた措置を取る。)。
  • 意見書の提出(出願人の意見、反論を主張する。)
  • 出願の分割(単一性違反の拒絶理由が通知された場合や、複数の請求項のうち、一部の請求項のみが拒絶理由の対象となっている場合などに有効。)
  • 手続補正書の提出(当該書類の記載内容を補正。)
  • 出願の変更(実用新案登録出願や意匠登録出願に変更。)
  • 特許出願の放棄・放置・取下げ

○   拒絶査定を受けた出願人は、拒絶査定の謄本の送達があった日から3月以内に拒絶査定不服審判の請求が可能。

○不服審判において拒絶審決を受け、これに不服があれば東京高等裁判所(知財高等裁判所)に対して審決取消訴訟の提起が可能。

○特許査定の謄本の送達ががあった日から30日以内に、特許権発生後の最初の3年分の特許料を特許庁に支払い、特許庁が特許権の設定登録を行う。

○手続の補正について
「手続の補正」とは、特許出願、請求、その他特許に関する手続に係る書類の内容を補正すること(補正の効果は出願時まで遡及。)。
※特許出願人が補正することができる。
新規事項追加となる補正は許されず、願書に最初に添付した明細書等に記載された事項の範囲内に限られる。

特許権の付与

○特許権の発生
実体審査→特許査定→特許査定の謄本が送達された日から30日以内に、第一年~第三年分の特許料を納付特許権の設定登録(特許権の発生)特許公報が発行されて公開

特許出願の日から20年存続する(国内優先権の主張を伴う特許出願に係る特許権の存続期間は、後の出願の日から20年。)。
※四年目以降の特許料は、該当する特許料を前年までに納付すること。
※「追納」とは、特許料の納付期限が経過した場合に、納付期限の経過後6月以内に特許料を倍額(特許料+同額の割増料)支払うことで特許権を維持すること。
延長登録の出願によって、5年を限度に存続期間を延長することが可能。

特許権の効力

「積極的効力(独占)」とは、業として特許発明を独占的に実施すること。
「消極的効力(排他)」とは、特許権の侵害があったときに排除し、権利者の独占的実施を確保すること。

○民事/刑事上の責任追及
  • 差止請求(侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却など。)
  • 損害賠償請求(権利者の立証負担を軽減するための特別規定あり。)
  • 不当利得返還請求(自己が受けた損失を限度とする。)
  • 信用回復措置請求(業務上の信用を回復するのに必要な措置。)
  • 刑事罰(故意に特許権を侵害した場合に限る。)

※「属地主義の原則」により、日本の特許権は日本国内に限り有効。

○発明の実施パターン
  • 物の発明(生産、使用、譲渡等、輸出もしくは輸入又は譲渡等の申出をする行為。)
  • 単純方法の発明(その方法を使用する行為。)
  • 物を生産する方法の発明(方法を使用する行為+その方法により生産した物の使用、譲渡等、輸出もしくは輸入又は譲渡等の申出をする行為。)
○特許権の効力が制限される場合
  • 特許法69条に該当する(試験又は研究のための実施、国内通過船舶・航空機等、特許出願時から国内にあるもの。)
  • 実施権が存在する(許諾・設定による実施権、法定通常実施権、裁定通常実施権)
  • 権利消尽(特許権者又は実施権者により、国内で適法に製造・販売された物。)

専用実施権と通常実施権

「専用実施権」とは、設定行為で定めた範囲内において、業として独占的に特許発明の実施をすることができる独占排他権(効力発生には設定登録が要件設定後は特許権者も実施が出来なくなる。)。

「通常実施権」とは、特許法の規定又は設定行為で定めた範囲内において、業として特許発明を実施することができる債権的権利(特許権者・専用実施権者が許諾した場合、法定通常実施権、裁定通常実施権(行政庁の裁定があった場合)に発生。)。
「独占的通常実施権」とは、特約により契約の相手方以外には実施権を許諾しないことを定めること。

※許諾・設定の際(専用実施権・通常実施権)、時間的、地域的、内容的範囲を定めることができる。
※特許権が共有の場合、一の特許権者が第三者に実施権を設定・許諾する際に他の共有者の同意が必要(実用新案法、意匠法、商標法も同様。)。

専用実施権者の権利
  • 差止請求権
  • 損害賠償請求権 など
  • 刑事罰
  • その専用実施権について特許権者の承諾を得れば通常実施権を許諾することができる。

特許権侵害

「特許権の侵害」とは、正当な理由又は権原なく、業として他人の特許発明の実施をすること又は一定の予備的行為をすること。

○侵害の警告を受けたときの対応
  • 特許原簿の閲覧(警告に係る特許権が存在することの確認)
  • 自己の行為が業としての実施行為であることの確認
  • 自己の行為が他人の特許発明の実施又は予備的行為に該当するかの検討(特許発明の技術的範囲の判断が困難な場合は、特許庁に判定の請求弁理士等に鑑定の依頼をすることができる。)

○特許権を侵害していると判断した場合の措置
  • 実施の中止(実施を中止すれば、差止請求権行使の回避が可能。だが、過去に実施した事実は残る。)
  • 損害賠償金の支払い(過去の侵害行為について清算するための措置。)
  • 実施許諾等に関する交渉(特許権者や専用実施権者との交渉。)
  • 実施形態の変更(特許権の権利範囲外となるように実施形態を変更する。)

○特許権を侵害しないと判断した場合の措置
  • 特許権を侵害しない旨の回答
  • 応訴の準備
  • 差止請求権不存在確認訴訟、先使用権確認訴訟等の提起
  • 利害関係人が特許無効審判の請求を行う(特許権を遡及的に消滅させるための措置。)。

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