筆者を始め、その後1年間公開を待ち続けたコナンファンが多数いたことは当然ですが、満を持して2021年4月、劇場版第24作目「緋色の弾丸」が公開されました!
今回の映画は原作、アニメでも人気の高いキャラクター「赤井秀一」がメインとなるストーリー構成ということもあり、時間をかけて予習(赤井さん初登場から、組織・FBIとの関わり方、灰原哀とのつながりなどをチェックし、劇場版過去23作品のパンフレットを穴の開くほど読みました。)した上で観賞してきたので、ここで報告させていただきます。
どんな内容?
原作コミックが現時点で99巻まで発売されていることからもわかるとおり、名探偵コナンはなかなかの長寿マンガです。
それ故本筋とは離れたfileも多いのですが、緋色の弾丸は原作の本筋に関わってくる(核となる)可能性のあるエピソードとなっている印象でした(これまでの劇場版は、原作の番外編やスピンオフといった認識だったので、そもそもの設定に驚きましたが。)。
ストーリーの舞台となるのは、4年に1度の世界的スポーツの祭典・WSG東京の開催を控えた東京の芝浜ビューホテル、そして芝浜駅と新名古屋駅を結ぶ真空超電導リニア。
「スポーツの祭典」という言葉自体が不穏な雰囲気を纏っていますが、ここはいったんスルーで。
ホテルでの鈴木財閥会長誘拐事件から過去に起こった事件とのつながりを紐解いていき、リニアの中では劇場版らしい展開が待ち受ける、という流れとなっています(実在する土地の名称をもじった架空の都市名がちょこちょこ出てくるのですが、土地勘がある方が観るとクスッと笑えるシーンも見所の一つです。)。
この映画では『誰一人死者が出ない』でエンディングを迎えた、という点が最大の魅力ですね(赤井秀一を始めとするFBIとコナンの、犯人へのアプローチ方法の違いや決定的な立場の違い、事件に対する向き合い方など、対比がクッキリと浮かび上がってきました。)。
過去放送したアニメ「ピアノソナタ月光殺人事件」の中で犯人の自死を止められなかった江戸川コナン(工藤新一)ですが、これ以降「名探偵コナン」の中で犯人が死ぬことはありません(この事件がきっかけとなって『犯人を死なせる探偵は殺人者と変わらない』といった名言も誕生していましたね。)。
(いつになるかは分かりませんが、)将来黒の組織との対決を迎えても『組織をつぶす』目的の手段として「人が死ぬ」ことはないのだろうと感じます。
監督さん・脚本家さんはどんな人?
劇場版最新作「緋色の弾丸」を監督した永岡智佳さんは、劇場版第17作「絶海の探偵」から演出に携わっており、第23作「紺青の拳」から監督を勤めています。
女性ならではの感性というか、ラブコメシーンなどは大人の女性でも楽しめるような作りになっていたり、一方でアクションシーンへの切り替えの緩急の付け方も大人が好むような演出に感じられました。
特に「紺青の拳」では、新一と毛利蘭の関係性が大きく変わった直後の映画だったこともあり、このタイミングでの永岡監督の起用は非常に興味深いものだった気がします。
今作品で脚本を担当した櫻井武晴さんもまた「絶海の探偵」から脚本を勤めていますが、シリーズもののテレビドラマの脚本に多数携わっていることも有名ですよね。
- 相棒シリーズ(殺しのカクテル、ありふれた殺人、サザンカの咲く頃、複眼の法廷、神の憂鬱、ボーダーライン、幽霊屋敷など、挙げればキリがないですが、特に印象的だったものをピックアップしてみました。)
- 科捜研の女シリーズ
- 新参者シリーズ
警察ものや法曹ものに多く関わっている印象ですが(近年、相棒の脚本に関わっておられないことについて、個人的にはとても残念ですね…。)、緻密に計算された伏線と鮮やかな謎解きをワクワクしながら見ていました。
「絶海の探偵」もイージス艦を舞台としたストーリーで全く子供向けの作品ではありませんでしたが、筆者自身が小学1年生の時からコナンに親しみ、年を重ねるに連れて映画の内容と感覚が合ってきたのか、しっかり内容を追えるようになりました(小学1年当時に絶海の探偵を見ていたら、おそらく一度観ただけでは内容が分からなかったでしょう。)。
緋色の弾丸は容疑者の数を減らしたことにより、謎解きよりも人間模様や今後の本編の盛り上げをメインに構想を練っていたのだろうと感じています(オリンピック盛り上げ目的だったのかは不明ですが、映画を確認すると、スポーツの祭典もリニアも関わりが薄めなんですよね…。)。
劇場版第25作について、テーマが「警視庁」とのことで、櫻井さんが再び脚本を担当する可能性が高そうな気もしますが、今作よりさらに期待のできる作品を今から心待ちにしています。
声優さん・テーマソングは?
前作の紺青の拳では声優の梶裕貴さんが犯人役を演じておりましたが、今回容疑者を演じていた声優さんも平野綾さん、鈴村健一さんと豪華な顔ぶれです。
それぞれ「涼宮ハルヒ」シリーズ、「銀魂」「鬼滅の刃」など代表作も多数存在しますが、これだけ著名な声優を起用していると「声優で犯人がバレる」という現象も発生しがちですよね(実際アニメではよくありがちな現象です。)。
製作発表でも、ゲスト声優のみの発表で声優さんの名前をシークレットにしているようですので、その意図を読み取って観賞時にはストーリーを追うことに平行して声優当てゲームを独自に行ったりして楽しみながら観ていました(パンフレットは観賞前に売店で購入しますが、クレジットは絶対に見ません!)。
劇場版ではゲスト声優も豪華ですが、今回は女優の浜辺美波さんが担当されています。
声優経験はそれほどない印象なのですが、もともと声が通る方なので、今後も俳優業を頑張っていただきたいですね。
劇場版では、作品毎に雰囲気に合った楽曲も印象的です。
緋色の弾丸には東京事変の「永遠の不在証明」が使われていますが、ピアノのメロディと椎名林檎さんの歌声に聞き惚れてしまうほど、映画の世界観にマッチしていました。
歌詞にも映画のストーリーを匂わせるようなキーワードを散りばめており、テーマ曲だけでも想像を膨らませることができるのが魅力です。
テレビアニメ、劇場版と、テーマソングを担当されることの多い倉木麻衣さんを例に挙げると、ご本人のイメージと映画の雰囲気、世界観が合わさった楽曲で映画に花を添えていることが分かります。
- 劇場版第21作目「から紅の恋歌」→「渡月橋~君想ふ~」
- 劇場版第13作目「漆黒の追跡者」→「PUZZLE」
- 劇場版第7作目「迷宮の十字路」→「Time after time~花舞う街で~」
- 劇場版第5作目「天国へのカウントダウン」→「always」
個人的には、再びB’zさんの楽曲を映画館で聞いてみたいという想いがあり、次回作以降に期待したいですね。
まとめ
エンターテイメント業界も厳しいですが、面白い・楽しいなど人を感動させるようなコンテンツは必ず印象に残りますし、乗り越えていけるということは既に「鬼滅の刃」で証明されています。
外出自粛や緊急事態宣言に負けることなく興行収入にもつなげ、人の心に残るような次回作を作っていただけるよう、微力ながら応援したいです。
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