この記事では、知的財産管理技能検定の過去問をベースに簡単な解説を付けていきます(少し内容を簡単にしています。)。
1級の特許専門業務を受験したので、出題範囲は主に特許・実用新案・条約・不正競争防止法・独占禁止法・民法・民訴法・裁判法・関税法・弁理士法・知財戦略・IPランドスケープ・PPH・米国特許・中国特許・韓国特許・欧州特許などです!
※最近の問40~45は、米国特許の実務について連続した出願となっています(長文や会話文に下線が引かれ、それに関しての問題が続きます。)。
→2級とは比較にならない程に難易度が上がるような気もしますが、基礎を勉強して内容を理解していれば解ける問題も多いです(その代わり、知らない問題は全く解けません…、すべて記号選択問題なのに、歯が立ちませんでした。)。
なお、過去問は知的財産管理技能検定公式HPに問題と解答が掲載されており、それを引用しています。
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以下、3級、2級基礎知識をまとめています。
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第40回学科問44
米国特許商標庁に対する登録後の手続きについて、不適切なものは?
- 発行された特許証の内容に誤記や方式的な誤りなど特許権の範囲に実質的な影響を与えない誤りがあることが判明した場合、訂正証明書(certificate of correction)によって誤りを訂正できる。
- 特許されたクレーム、又は特許権の存続期間の一部を権利放棄するために、ディスクレーマ(disclaimer)を提出することができる。
- 特許が発行された後に、明細書に特許が作用しない、又は特許が無効となるような誤りがあることが判明した場合、訂正した内容で再発行(reissue)することができる。
- 特許発行後3年以内でクレームの範囲を拡張したい場合、再発行(reissue)することができる。
解答
- 特許発行後3年以内でクレームの範囲を拡張したい場合、再発行(reissue)することができる。
特許登録後の手続きについて、日本の手続きと比較しながら考えると覚えやすい。
○特許登録後に、訂正証明書などを使っての訂正は可能。
○ターミナルディスクレーマを提出することによって、特許権の存続期間の一部を権利放棄することができる。
※二重特許による拒絶をディスクレーマ提出により、先願の特許権存続期間の満了日と一致させるように後願の特許権存続期間の一部を放棄することで拒絶理由が解消される。
解説
○特許の再発行
→特許権者が、元の特許の発行から2年以内に利用できる制度。この期間なら、クレームの拡張が可能。
第40回学科問45
米国で成立した特許権に対するレビュー制度について、適切なものは?
- 登録後レビュー(post-grant review:PGR)の請求期間は、特許発行から6ヶ月以内である。
- 登録後レビュー(post-grant review:PGR)の請求の理由は、特許又は刊行物に基づく新規性又は非自明性の欠如に限定される。
- 当事者系レビュー(inter partes review:IPR)の請求人適格は、特許権者以外の誰でも請求でき、現実の利害当事者(real party in interest)を特定する必要がない。
- 当事者系レビュー(inter partes review:IPR)は、公用に基づく新規性又は非自明性の欠如を請求の理由として請求することができない。
解答
- 当事者系レビュー(inter partes review:IPR)は、公用に基づく新規性又は非自明性の欠如を請求の理由として請求することができない。
○PGR(付与後レビュー・異議申立制度)
- 請求期間:特許発行日から9ヶ月以内。
- 原則、すべての理由で請求可能。
- 特許権者以外の者が請求可能(匿名不可。)。
解説
○IPR(当事者系レビュー)
- 請求期間:特許発行日から9ヶ月経過後以降に請求可能(PGRが開始された場合、その終了日以降。)。
- 特許権者以外の者が請求可能(匿名不可。)。
- 請求の理由は、特許又は刊行物に基づく新規性、非自明性のみ。
- 現実の利害当事者であることを明示すること。
※2011年米国改正特許法により、特許無効手続として当事者系レビュー制度と付与後レビュー制度が創設された。
- 裁判所の紛争処理件数を減らすため
- 当事者の訴訟コストを削減するため
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