この記事では、弁理士試験の過去問の出題根拠となった判例と、実際の短答式筆記試験の問題を抜粋して紹介しています(研究という程ではないですが、頻出の判例です。)。
↑↑裁判所ホームページから、拾える範囲で判決全文のPDFファイルを拾って記事内に添付しているので、もし良ければ確認してみて下さい!
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事件の概要
被抗告人が抗告人の書体などを基にして書体を作成し、これを搭載したレーザープリンターを販売していたが、この書体が抗告人の書体と酷似しているため誤認混同を生じ、抗告人の営業上の利益を侵害するおそれがあるとして、書体を入力したフロッピーディスク等の製造・販売差止の仮処分申請を行った。
原審では、不正競争防止法1条1項1号にいう「商品」とは有体物をいい、無体物である書体そのものは商品に該当しないとして申請を却下し、原決定の取消を求めて抗告した。
主張の理由
- 印刷業者、新聞社、プリンターメーカー等は、それぞれ自己の用途にとって最も好ましいと考える特定の書体を選択し、当該書体メーカーと有償の使用許諾契約等を締結してその書体を使用しているものということができるから、書体メーカーによって開発された特定の書体は、正に経済的価値を有するものであり、独立した取引の対象となる。
判決
- 抗告人の書体は、活字、写植等の印刷、編集、製本技術等に関する一般的な概説書において、いずれも抗告人の代表的な書体として取り上げられているなどの事実から、主要な需要者には周知である。
- 書体自体が形態的特徴を有するというために、書体が常に外部に表示されていることは必要ではないとして、フロッピーディスク等に記録された書体の「商品形態」への該当性を認めた。
- 両者の書体を「デザインコンセプト」「骨格の形」「エレメントの形」の観点から類似性の検討を行い、その結果同一であると判断した。
- 被抗告人の書体の売り込みを受けた会社が、抗告人の書体であると誤信した事実から、同一の書体を販売する両者に緊密な営業上の関係が存するものと誤信し、混同が生じるおそれがある。
【参考条文:不正競争防止法2条1項1号】
短答式試験問題抜粋
令和2年度【著作権法・不正競争防止法7】
無体物であるタイプフェイス(印刷用書体)は、不正競争防止法第2条第1項第1号の商品等表示における商品には含まれない。
→本枝は不適切。
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