この記事では、弁理士試験の過去問の出題根拠となった判例と、実際の短答式筆記試験の問題を抜粋して紹介しています(研究という程ではないですが、頻出の判例です。)。
↑↑裁判所ホームページから、拾える範囲で判決全文のPDFファイルを拾って記事内に添付しているので、もし良ければ確認してみて下さい!
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事件の概要
本件商品(商標が付され、D社の仕様に従い製造されたスポーツウェア、レジャーウェア)は、シンガポール共和国外3ヵ国において本件登録商標と同一の商標の使用許諾を受けたG社(D社より、契約地域内で契約品を製造、販売及び頒布し、契約地域内で契約品につき本件登録商標と同一の商標を使用すること等を許諾されている。)が、商標権者(D社)の同意なく契約地域外である中華人民共和国にある工場に下請製造させたものであり、本件許諾条項に違反しているとして、被上告人が商標権の侵害などを訴えたが、上告人は被上告人の行為を営業妨害、信用を害するものであると主張した。
主張の理由
- 本件商品の輸入がいわゆる真正商品の並行輸入として違法性を欠く。
判決
上告棄却。
商標法は、「商標を保護することにより商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」のであり、各要件をすべて満たす、いわゆる真正商品の並行輸入は商標の機能である出所表示機能及び品質保証機能を害することなく、商標を使用する者の業務上の信用及び需要者の利益を損なわず、実質的に違法性がないといえる。
【商標権侵害が成立しないための並行輸入の要件】
- 当該商標が外国における商標権者又は当該商標権者から使用許諾を受けた者により適法に付されたものであり、
- 当該外国における商標権者と我が国の商標権者とが同一人であるか又は法律的もしくは経済的に同一人と同視し得るような関係があることにより、当該商標が我が国の登録商標と同一の出所を表示するものであって、
- 我が国の商標権者が直接的に又は間接的に当該商品の品質管理を行い得る立場にあることから、当該商品と我が国の商標権者が登録商標を付した商品とが当該登録商標の保証する品質において実質的に差異がないと評価される場合
本件許諾条項中の制限に違反して製造された本件標章が付された本件商品は、商標権者による品質管理が及ばず、商標の品質保証機能が害されるおそれがある。
【参考条文:商標法2条1項2号、25条】
短答式試験問題抜粋
令和3年度【商標4】
商標権者以外の者が、我が国における商標権の指定商品と同一の商品につき、その登録商標と同一の商標を付したものを輸入する行為は、許諾を受けない限り、商標権を侵害するが、そのような商品の輸入であっても、当該商標が外国における商標権者又は当該商標権者から使用許諾を受けた者により適法に付されたものであり、当該外国における商標権者と我が国の商標権者とが同一人であるか又は法律的もしくは経済的に同一人と同視し得るような関係があることにより、当該商標が我が国の登録商標と同一の出所を表示するものである場合には、常に、いわゆる真正商品の並行輸入となり商標権侵害が成立することはない。
→本枝は誤り(最後の要件を満たしていない)。
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