この記事では、弁理士試験の過去問の出題根拠となった判例と、実際の短答式筆記試験の問題を抜粋して紹介しています(研究という程ではないですが、頻出の判例です。)。
↑↑裁判所ホームページから、拾える範囲で判決全文のPDFファイルを拾って記事内に添付しているので、もし良ければ確認してみて下さい!
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事件の概要
メリヤス編機の特許に対する無効審判について、特許庁は新規性欠如を理由に特許を無効とする審決をした。
これに対し、特許権者は審決取消訴訟を提起し、東京高裁は審決を取り消すと共に「審判請求人が訴訟で新たに追加主張した無効理由及び新たに提出した公知事実については、それらが特許庁で審理判断されていない」ことを理由に判断を拒否した。
これに対して、無効審判請求人が上告した。
主張の理由
- 審決取消訴訟における新たな証拠の提出は、審決取消訴訟の審理の対象として許容される範囲内の物に限られるべき。
判決
審理の対象は、審判手続きにおいて現実に争われ、審理判断された特定の無効原因に限られる。
また、無効事由の条項が同一でも証拠(公知事実)が異なる場合は、別個の無効理由となる。
審決の取消訴訟においては、抗告審判の手続きにおいて審理判断されなかった公知事実との対比における無効原因は、審決を違法とし、又はこれを適法とする理由として主張することができないものと言わなければならない。
【参考条文:特許法181条1項】
短答式試験問題抜粋
令和3年度【特許・実用新案4】
特許出願に対し、当該特許出願前に公知事実Aによって公然知られた発明であることのみを理由とする拒絶をすべき旨の査定がなされ、これに対する拒絶査定不服審判の請求を成り立たないとする審決がなされた場合、この審決に対する取消訴訟において、裁判所が、上記公知事実Aとは異なる公知事実Bによって公然知られた発明であるという拒絶の理由を発見したときは、当該拒絶の理由に関する主張立証の機会を当事者に与えた上であれば、当該拒絶の理由により、請求棄却の判決をすることができる。
→本枝は誤り。
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平成29年度【特許・実用新案4】
特許無効審判の審決の取消訴訟においては、当該審判の手続において審理判断されなかった公知事実との対比における無効原因は、当該審決を違法とし、又はこれを適法とする理由として主張しても、認められない。
→本枝は正しい。
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