【意匠法判例研究】コネクター接続端子事件(弁理士試験対策)

この記事では、弁理士試験の過去問の出題根拠となった判例と、実際の短答式筆記試験の問題を抜粋して紹介しています(研究という程ではないですが、頻出の判例です。)。


↑↑裁判所ホームページから、拾える範囲で判決全文のPDFファイルを拾って記事内に添付しているので、もし良ければ確認してみて下さい!

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事件の概要


原告は、意匠に係る物品を「コネクター接続端子」とする意匠につき意匠登録出願を行い、特許庁から拒絶理由通知を受けたので意見書を提出して反論したところ、拒絶査定を受けた。
そこで原告は、特許庁に対して不服の審判請求をした。

本願意匠の全体の大きさは、正面図において横1.21mm、縦1.35mm、右側面図において最大横幅0.28mmである。

主張の理由
  • 本願意匠の全体の形態は肉眼においても十分に認識可能な大きさであり、本願意匠に係る物品の当業者であれば、その全体の形態を認識することが可能である。
  • 本願意匠と同程度又はそれより小さな意匠が登録された例は多数あるから、本願意匠についても意匠登録が認められるべきである。

判決




請求棄却。

本願意匠は極めて微小な態様のものであるから、審決の認定に誤りはない。
本願意匠は、肉眼により観察した場合、屈曲した部分があるという程度のことは認識することができるとしても、屈曲の部位や程度等の具体的態様を認識し得るものではない。
一般に「視覚を通じて」とは、「眼によって」ということであり、それはすなわち、観察対象物と肉眼との間に拡大鏡等の器具を介さないで、肉眼によって観察することにほかならない。
意匠に係る物品の取引に際して、当該物品の形状等を肉眼によって観察することが通常である場合には、肉眼によって認識することのできない形状等は「視覚を通じて美観を起こさせるもの」に当たらず、意匠登録を受けることができない。

【参考条文:意匠法2条1項、3条1項】

短答式試験問題抜粋


令和元年度【意匠1】

その大きさが、縦0.4ミリメートル、横3ミリメートル、厚さ0.1ミリメートルであって、肉眼によっては細部を認識できない電気接続端子の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合について、意匠登録を受けることができる場合はない

→本枝は誤り。

意匠物品の取引に際して、物品の形状等を拡大して観察することが通常である場合には、肉眼によって観察することができないとしても、「視覚を通じて美観を起こさせるもの」に当たると解する。

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平成30年度【意匠1】

肉眼では細部まで観察することができない極小の歯車は、取引の際、拡大観察することが通常であっても、意匠登録の対象とならない。

→本枝は誤り。

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