この記事では、弁理士試験の過去問の出題根拠となった判例と、実際の短答式筆記試験の問題を抜粋して紹介しています(研究という程ではないですが、頻出の判例です。)。
↑↑裁判所ホームページから、拾える範囲で判決全文のPDFファイルを拾って記事内に添付しているので、もし良ければ確認してみて下さい!
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事件の概要
被告が業として被告製品を製造、販売することは、原告の有する特許権の技術的範囲に属しており本件特許権を侵害するものであるとして、被告に対し、被告製品の製造、販売等の差止め、被告製品の廃棄及びその製造に供する金型の除去を求めるとともに、損害賠償を請求した。
予備的に、電気用品安全法所定のPSE表示が、同法の定める検査を受けた電気用品についてのみ付すことを許されているにもかかわらず、被告において、同検査を受けていない被告製品につき、PSE表示が付されたものを販売したことが品質等誤認惹起行為に当たるとして、損害金の支払いを求めた。
※PSE表示
構造又は使用方法その他の使用状況からみて特に危険又は障害の発生するおそれが多い電気用品であって政令で定めるものを、特定電気用品と定義し、特定電気用品について届出事業者は、その販売時までに経済産業大臣の登録を受けた者による適合性検査を受け、かつ、経済産業省令で定める技術上の基準に適合している旨を記載した証明書の交付を受け、これを保存しなければならない。
それらの義務を履行したとき、PSE表示を付すことができる。
主張の理由
- 被告新製品がバイメタル遮断回路を備えていないとすれば、バイメタル遮断回路を備えていない被告新製品については適合性検査がなされておらず、そのため、PSE表示を付すことも、そもそも製造販売することも認められない。にもかかわらず、被告が被告新製品に旧表示を付し、旧表示を付した被告新製品を譲渡あるいは引き渡したことは品質等誤認惹起行為に該当する。
判決
請求棄却。
電気用品安全法によれば、PSE表示は「構造又は使用方法その他の使用状況からみて特に危険又は障害の発生するおそれが多い電気用品」である特定電気用品のひとつである電子ブレーカにとって、不正競争防止法2条1項13号の規定する「品質」についての表示に該当する。
したがって、被告新製品が適合性検査の受検、証明書の交付及び保存といったPSE表示を付すための手続要件を満たしていないにもかかわらず、被告が旧表示を付した被告新製品を販売してきたことは、品質について誤認させるような表示をした商品を譲渡したものとして、品質等誤認惹起行為に該当する。
【参考条文:不正競争防止法2条1項20号】
短答式試験問題抜粋
令和元年度【著作権法・不正競争防止法10】
甲社は、電気用品安全法所定の検査を受けていない電子ブレーカに、同法の規定する技術基準に適合している旨同法所定の適合検査で証明されたことを示す表示であるPSE表示を付して、販売を行っている。甲社の行為は、品質の誤認の惹起に係る不正競争となる。
→本枝は適切。
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