【商標法判例研究】バイクリフター事件(弁理士試験対策)

この記事では、弁理士試験の過去問の出題根拠となった判例と、実際の短答式筆記試験の問題を抜粋して紹介しています(研究という程ではないですが、頻出の判例です。)。


↑↑裁判所ホームページから、拾える範囲で判決全文のPDFファイルを拾って記事内に添付しているので、もし良ければ確認してみて下さい!

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事件の概要


バイクリフター」「BIKE LIFTER」の商標権を有する原告は、平成10年8月頃から原告商標を付したオートバイ運搬用台車である原告商品を製造、販売している(原告商品は、原告のホームページ、YAHOOショッピング、楽天市場、Amazonなどのインターネットショッピングサイト、月刊オートバイ等のオートバイ関連雑誌において、広告宣伝を行っている。)。
原告商標は積極的な広告宣伝活動の結果、需要者において広く認識され、周知性を獲得していた。

被告は、平成25年8月から少なくとも平成28年8月まで「バイクシフター」「bike shifter」の標章を付したオートバイ運搬用台車である被告商品を製造、販売し、又は販売のために展示していた(被告のホームページ上に、商品名「バイクシフター」「bike shifter」とする被告商品の写真を掲載し、商品説明等の文章中において、「バイクシフター」「bike shifter」の語を使用また、インターネットショッピングサイト上に被告各標章を付した被告商品の写真を掲載し、同商品を販売していた。)。
被告は、そのウェブサイト(http://world-walk.com)の html ファイルの<metaname=″keywords″content=>に、<meta name=″keywords″content=″バイクリフター″>と記載し、<meta name=″description″content=>及び<title>において、<meta name=″description″content=″バイクシフター&スタンドムーバー 使い方は動画でご覧下さい″><title>バイクシフター &スタンドムーバー</title>と記載している。


メタタグの使用について
  • 被告のホームページを表示させた上でブラウザの表示から「ページのソースを表示」をワンクリックすると原告商標が記載されたメタタグを容易に視認することができるが、通常の状態では視認することができるものではない
  • インターネットの検索サイトの利用者がサーチエンジンにキーワードとして原告商標を入力した際にサーチエンジンを通じて被告ホームページでのメタタグ表記を視認しているといえることから、被告による原告商標のメタタグ使用は、商標権使用に当たる?
  • ブラウザの表示からメタタグを見たとしても、メタタグにおける使用はそもそも自他商品識別機能、出所表示機能等といった商標としての機能を発揮しているものではないため、コード等を埋め込む行為は商標の使用には当たらない?


判決





ディスクリプションメタタグタイトルタグに被告標章を記載した結果、検索サイトにおいてキーワード検索結果が表示されるページ上に、被告のホームページについて、上記タイトルタグのとおりのタイトルが表示され、上記ディスクリプションメタタグのとおりの説明が表示されると認められる
一般に事業者がその商品又は役務に関してインターネット上にウェブサイトを開設した際のページの表示は、その商品又は役務に関する広告であるということができるから、インターネットの検索サイトの検索結果画面において表示される当該ページの説明についても、同様に、その商品又は役務に関する広告であるというべきであり、商標法2条3項8号所定の商品又は役務に関する広告を内容とする情報を電磁的方法により提供する使用行為に当たるというべきである。

被告ウェブサイトのキーワードメタタグにおける原告商標の使用は、表示される検索結果たる被告ウェブサイトの広告の内容自体において、原告商標が知覚により認識される態様で使用されているものではなく、商標法2条3項8号所定の使用行為に当たらないというべきである(キーワードメタタグは、被告のウェブサイトを検索結果としてヒットさせる機能を有するにすぎず、ブラウザの表示からソース機能をクリックするなど、需要者が意識的に所定の操作をして初めて視認されるものであり、これら操作がない場合には、検索結果の表示画面の被告のウェブサイトの欄にそのキーワードが表示されることはない。)。

【参考条文:商標法2条3項8号】

短答式試験問題抜粋


令和4年度【商標6】

いわゆるディスクリプションメタタグは、インターネット上に開設したウェブサイトの内容に関する説明を記載するものであり、検索サイトの検索で当該ウェブサイトがヒットした場合、その検索結果画面に、当該ウェブサイトに関して当該ディスクリプションメタタグどおりの説明が表示され、その内容が需要者に視認されるが、ディスクリプションメタタグ自体は、ウェブサイトのhtmlファイル上のコードの記載であって、ブラウザの表示からソース表示機能をクリックするなど、需要者が意識的に所定の操作をしない限り視認できないものである。
そのため、当該ディスクリプションメタタグに自己のウェブサイトの内容に関する説明として他人の登録商標を記載し、検索サイトの検索結果画面に当該自己のウェブサイトの説明として当該他人の登録商標を表示させる行為をしても、当該行為が商標権の侵害を構成する場合はない。

→本枝は誤り。


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