この記事では、弁理士試験の過去問の出題根拠となった判例と、実際の短答式筆記試験の問題を抜粋して紹介しています(研究という程ではないですが、頻出の判例です。)。
↑↑裁判所ホームページから、拾える範囲で判決全文のPDFファイルを拾って記事内に添付しているので、もし良ければ確認してみて下さい!
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事件の概要
被告(楽器等の製造販売を業とする会社)は、原告の有する登録商標(指定商品「被服」等)と同一の標章を附したTシャツ、トレーナー、ジャンパー等の衣類を被告の取引先を通じて多数の消費者に販売し、又は無償で引渡していた。
Tシャツ等は、商標法にいうところの「商品」であり、本件商標の指定商品に属しており、原告の主力取引先等から本件商標を附した商品についての出所の誤認混同を生じることを理由に取引の停止を通知され、原告は被告に対して商標権侵害に基づく損害賠償を請求した。
主張の理由
- 宣伝広告及び販売促進用の物品に商標を附する場合には、商取引の目的物である「商品」は宣伝広告の対象となっている物品を指すものというべきであるから、被告の行為は楽器等にBOSSマークの商標を使用したものであって、本件商標の指定商品である第十七類被服等に使用したものではない。
- 被告製造の楽器類の購入者にBOSSマーク付きのTシャツ等を無料配布しているのであるから、原告製造のTシャツ等の商品との間で出所の誤認混同を生じる虞は全くない。
判決
請求棄却。
商標法上商標は商品の標識であるが、ここにいう商品とは商品それ自体を指し商品の包装や商品に関する広告等は含まない。
商標権者は登録商標を使用する権利を専有し、これを侵害する者に対し差止請求権及び損害賠償請求権を有するが、それは商品についてである。
ある物品がそれ自体独立の商品であるかそれとも他の商品の包装物又は広告媒体等にすぎないか否かは、その物品がそれ自体交換価値を有し独立の商取引の目的物とされているものであるか否かによって判定すべき。
BOSS商標を付したTシャツ等は、被告の楽器のノベルティとして楽器購入者に限り一定の条件で無償配布しているにすぎず、Tシャツ等それ自体を取引の目的としているものではないことは明らかである。
【参考条文:商標法2条3項2号】
短答式試験問題抜粋
令和4年度【商標2】
甲は、指定商品を「雑誌、録画済みビデオディスク」とする登録商標ロの商標権者である。甲は、登録商標ロを付した録画済みビデオディスクを製造し、販売しているところ、当該録画済みビデオディスクのノベルティ(販促品)として、当該録画済みビデオディスクの内容に関する記事を掲載した雑誌に登録商標ロを付して無償で配布している。甲の当該雑誌の配布行為は登録商標ロの指定商品「雑誌」についての使用に該当しない場合がある。
→本枝は正しい。
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