【著作権法判例研究】パックマン事件(弁理士試験対策)

この記事では、弁理士試験の過去問の出題根拠となった判例と、実際の短答式筆記試験の問題を抜粋して紹介しています(研究という程ではないですが、頻出の判例です。)。


↑↑裁判所ホームページから、拾える範囲で判決全文のPDFファイルを拾って記事内に添付しているので、もし良ければ確認してみて下さい!

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事件の概要


被告「酔心興業株式会社」「株式会社永楽」は、「マイアミ」との名称で都内で多数の喫茶店を経営しているが、昭和55年10月以降、原告の「パックマン」の映画の上映権を侵害する行為であることを知りながら、もしくは過失によりこれを知らないで、経営する店舗で「パックマン」の無断複製ビデオゲーム機を設置してこれを上映している
原告は被告らに対し、映画の著作権の侵害による損害賠償請求として金員の支払及び遅延損害金の支払を求めた。

主張の理由
  • 映画の著作物を収録した劇場用の映画フィルムは、通常の商品のように一般の消費者に対して直接販売されるものではなく、専ら映画制作者において、映画配給業者を通じて、主として賃貸借契約の方式により、映画フィルム等を上映する劇場その他に配給する方法によって行われる。
  • 映画の著作物については、市場での流通の方式が他の著作物と全く異なっていることから、著作権法は、特に映画の著作物についてだけ、例外的に著作権の本来の内容としての複製権の外に、上映権及び頒布権を認めており、前述のような流通方式をとらないビデオゲーム機に収録されているビデオゲームは、「映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ、物に固定されている著作物」に該当せず、ソフトウェアすなわちコンピュータープログラムの著作物の問題として把えるべきである。
  • 著作者たるメーカーは、「パックマン」を含めビデオゲーム機を短期間で大量に生産し、僅かな期間内の取引によって多額の利益を挙げることができるが、ビデオゲームを映画の著作物と解すると上映権及び頒布権が認められ、基盤取扱業者、ユーザー等は、その都度譲渡又は上映について著作者たるメーカーに対して許諾を求め、なにがしかの金銭の支払をしなければならない制約を負い、却ってビデオゲーム機の大量かつ迅速な流通が円滑に行われず、取引の実態にも合わない。

判決




本来的意味における映画以外のものが「映画の著作物」に該当するための要件は、映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現されていること物に固定されていること著作物であること(思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものであること)である。
「パックマン」のブラウン管上に現れる動きをもって見える映像は、ROMの中に電気信号として取り出せる形で収納されることにより固定されているということができ、ビデオゲーム「パックマン」は著作者の精神的活動に基づいて、その知的文化的精神活動の所産として産み出されたものであり、著作物性を有する。

【参考条文:著作権法22条の2】

短答式試験問題抜粋


令和4年度【著作権法・不正競争防止法2】

飲食店の店舗において、不特定多数の客に、映画の著作物である家庭用ゲーム機用のゲームソフトのプレイ画面を見せることは、当該ゲームソフトの上映権を有する者の許諾を得る必要がある。

→本枝は最も不適切なものとはいえない。

飲食店の店舗での上映は、店内で提供する飲食物について対価を徴収し、間接的に営利につながるため、飲食店の店舗において、不特定多数の客に映画の著作物である家庭用ゲーム機用のゲームソフトのプレイ画面を見せることは、当該ゲームソフトの上映権を有する者の許諾を得る必要がある。

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