【商標法判例研究】東京メトロ事件(弁理士試験対策)

この記事では、弁理士試験の過去問の出題根拠となった判例と、実際の短答式筆記試験の問題を抜粋して紹介しています(研究という程ではないですが、頻出の判例です。)。


↑↑裁判所ホームページから、拾える範囲で判決全文のPDFファイルを拾って記事内に添付しているので、もし良ければ確認してみて下さい!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

↓↓弁理士試験概要はこちらから!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

事件の概要


東京地下鉄㈱が、登録商標「東京メトロ」(指定商品「新聞、雑誌」)の商標権者である原告に対して「東京メトロ」について商標登録の取消しを求める審判を請求し、特許庁が取消す旨の審決をしたが、原告は審決取消訴訟を提起した。


取消審決の理由
  • 平成17年11月16日に商標権取消審決の予告登録がなされたが、予告登録前3年以内に日本国内において、指定商品につき本件商標を使用したとはいえないため。
  • 原告は、平成17年4月29日から5月にかけて「とうきょうメトロ」と題する無料で配布される新聞に他人の広告を掲載し、広告の収入により事業展開を行っていたと主張している。
  • 無料で配布される新聞は他人の広告を掲載し頒布するために用いられる印刷物にすぎず、市場において独立した商取引の対象として流通に供されたものと認められるのか?

判決




審決取消。

本件新聞は読者からは対価を得ていないが、本件新聞に広告を掲載する広告主からは対価を得ており、また、配布対象は不特定かつ多数であり、親睦団体における会報等とは性格を異にし、営利性もあるため、このような形態の取引を無料配布部分も含めて全体として観察するならば、商取引に供される商品に該当するということができる。
無料紙に掲載された記事によって読者から人気を得れば、広告主との関係でも広告媒体としての当該無料紙の価値が高まり、同一又は類似の商標を付した無料紙が現れた場合、築き上げた信用にフリーライドされる事態も起こり得るため、無料紙においても付された商標による出所表示機能を保護する必要性がある

【参考条文:商標法2条3項2号】

短答式試験問題抜粋


令和4年度【商標2】

甲は、指定商品を「雑誌」とする登録商標の商標権者である。は登録商標を付した雑誌を無償で配布し、当該雑誌に掲載された広告から収入を得ている。の当該配布行為は登録商標の使用に該当する場合がある。

→本枝は正しい。

商品に標章を付したものを譲渡する行為(有償無償を問わない。)は、標章の使用に該当する。


コメント