2025年6月13日(金)に公開予定の映画「ドールハウス」のジャパンプレミアが5月21日にイイノホールで行われ、私も参加してきました。
キービジュアルからはジャニーズホラーのジメジメとした怖さは感じられませんが、全体的に明るいピンク色が使用され、アンティーク人形と無表情の長澤まさみのアンバランスさが見ている人をゾクゾクさせる仕様となっていますね。
人形を使ったホラー映画はよくありますが、果たしてどんな作品となっているのか期待を込めて完成披露試写会、舞台挨拶を見届けます!
どんな内容?
あらすじは、
「5歳の娘・芽衣を亡くした鈴木佳恵(長澤まさみ)と夫の忠彦(瀬戸康史)。
哀しみに暮れる佳恵は、骨董市で見つけた、芽衣によく似た愛らしい人形をかわいがり、元気を取り戻していく。
だが、佳恵と忠彦の間に新たな娘・真衣が生まれると、2人は人形に心を向けなくなる。
やがて、5歳に成長した真衣が人形と遊ぶようになると、一家に変な出来事が次々と起きはじめる。
佳恵たちは人形を手放そうとするが、捨てても捨てても、なぜかその人形は戻ってくる…!
人形に隠された秘密とは?
そして解き明かされる衝撃の真実とはー!?」
本作の矢口史靖監督は「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」「ハッピーフライト」など明るい娯楽作品が多く(ドラマ「学校の怪談」の監督もやっていたらしいですが。)、ホラー映画はほぼ初めてとのこと。
さらに長澤まさみさんのホラー作品出演もとても珍しく、キービジュアルも相まって情報公開から注目度が高かった作品です。
ジャンルとしてはホラー映画に分類される作品ですが、製作側は新ジャンル「ドールミステリー」にこだわりがあるそうです。
とある家族に異変をもたらした人形の謎に迫る、というのが作品の主旨のようですが、完成した映画は十分ホラーでした。
シュールなコメディのような演出もありつつ、効果音や緩急の付け方、実力派俳優のみで構成された演技力で観客を引き込む力、そして無機質な人形の不気味な(かわいい!と言い聞かせる)存在感、すべてを合わせるとTVサイズでは表現できないホラー映画が誕生します。
脚本・演出の魅力とそれを演じ切った俳優の個性
ジャパンプレミアでも話題となった、予告編で使われている人形初登場のシーンから、この映画の方向性が見て取れると思っています。
事故で長女を亡くした母親が青空骨董市で娘に似たアンティーク人形と出会って彼女を家に迎え入れ、食卓に座らせご飯の用意をしているところに夫が帰宅します。
それまで生きる気力を失ったかのように憔悴した妻に寄り添っていた夫は、鼻歌交じりに夕飯の準備をして笑顔で夫の帰りを迎えた妻のメンタルの回復を喜びますが、食卓についた夫がふと見ると無表情の人形が先に座っている…。
ここ数年の長澤まさみさんの作品はシリアスで社会派のものが続いていた印象ですが、一方でバラエティー、トーク番組での弾けるような笑顔の印象も強い俳優さんだと思います。
ただ、同じ笑顔でもまったく違う、精神的に壊れた人間の弾ける笑顔ほど怖いものはありません(本当に回復していたかもしれませんが、不安定な状態だったのは間違いない…?)。
看護師の夫も心配して病院へ相談に行きますが、いったん様子見となってしまいます。
夫婦の間に次女が生まれ、人形が蔑ろにされていく過程も丁寧に描かれていました。
廊下に飾られた写真の変化、椅子から床に座らされ、弾みで倒れた人形の重みが伝わるような効果音、物に埋もれた人形の目、暗いクローゼットに追いやられた人形の哀しみ、棒で突かれたり腕を引っ張られたり…。
この人形でなかったとしても、この扱いはひどいと思います。
人形には魂が宿ると昔から言われていますし、「死霊館」「チャイルド・プレイ」「M3GAN ミーガン」などのイメージもあり、さらに日本では「藁人形」や「ひとりかくれんぼ」などの呪術でも使われていて、一般的な人形であっても丁重に扱うのがマストですよね。
この人形は生成方法だけを見ると、アナベル人形よりもはるかに強力な特級呪物ですから。
紙袋に目と口の穴を開けて顔にかぶせる、タオルケットを全身にかぶっておばけごっこをする、友達の家でかくれんぼをするなど、子どものころにやったことのある人も多いであろう遊びが、演出次第でこれほど怖くなるとは予想外でした。
瀬戸康史さん、田中哲司さん、安田顕さん(贅沢な使い方でしたね。)、風吹ジュンさんといった豪華俳優陣のコメディとホラーのバランスの取れた演技力もさることながら、子役の池村碧彩さんもアヤちゃんに負けない存在感でかわいかったです。
和やかで笑いも起こる(?)ジャパンプレミア
本編終了後に登壇した出演者の中でも長澤まさみさんの全身から発するオーラのようなものに圧倒されていたのですが、アヤちゃんが中心にくるとパワーバランスが変わりましたね。
アヤちゃんのカメラ映りを気にして矢口史靖監督が舞台上でアヤちゃんの首をゴキッとした際、客席から悲鳴が上がりましたが監督は意に介さず、仲の良いチームといった雰囲気にほっこりします。
撮影が昨年の3月から5月にかけて行われたとのことで、池村さんがアヤちゃんに対して「軽くなったような気がする」とコメントして周りから「大きくなったんだね」と突っ込まれ、和気あいあいとした現場だったのだろうなとも思います。
副音声的、お気に入りシーンの上映もとても興味深かったです。
予告編でも使われた映像とかくれんぼのシーンが採用されていたのですが、私も初見で疑問に思っていたとある演出が言及され、少し嬉しかったです(^o^)
ホラーやサスペンスなど、シリアスな作品である程、現場が和やかな印象はありますが、長澤さんや瀬戸さんの人間力に惹かれるものもあるのでは、とも思っています。
作中の長澤さんは飛び抜けてスタイル抜群ですが、実物も本当にスタイル抜群でした(語彙力なし。)。
「芸能人はこうあるべき!」のお手本のような、それこそお人形のようなフォルムですね。
若い頃の作品も多く見てきましたが、表現の幅が広く素敵な役者さんだと思いました。
まとめ
最後の一秒まで目が離せず、私の場合は本編を見終えるとドッと疲れが出てしまいましたが嫌な疲れ方ではなく(かといって爽快ではない。)、無駄にハイテンションになりました。
映画のキービジュアル「だれにもわたさない」とは、いったいだれに向けた言葉なのか(女性が人形に執着している。それだけ?)、ハッピーエンドなのか…。
現実と虚構、妄想が交錯した、ジェットコースターのようなミステリーで、考察が捗りそうな作品です。
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