知的財産管理技能検定の3級を、某資格の学校で勉強中です。
知識の定着や、情報共有の意味を込めてまとめているので、同じ勉強をしている人や興味を持った人達に見ていただけると幸いです。
以下、試験で狙われやすい著作権法をまとめています(*´∇`*)
体系
「創作」をしてからの、著作権の流れはこのような感じです(流れというより、そもそも無方式主義なので、発生する権利一覧のようなもの。)。
まずは全体像のイメージから(≧∇≦)b
著作物
「著作権法」は、小説・絵画・音楽などの著作物やそれらに認められる権利、実演・レコード・放送等の隣接する権利を保護することで「文化の発展」を図ろうとする法律。
○著作物(思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの)に該当すると、著作者に著作人格権及び著作権が発生。
※穴埋め注意!
※事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、著作物に該当しない。
※「創作的(個性のある)」な表現であれば、プロ、アマチュアは問わない。
※頭の中の構想だけでは、著作物にならない。
※意匠法の保護対象である量産可能な工業製品のデザインは「産業の範囲」に属するが、「応用美術(量産可能な工業製品でも、美的鑑賞の対象となりうるもの)」は、意匠、著作物の両方に該当する。
○著作物の例示列挙
- 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
- 音楽の著作物
- 舞踊又は無言劇の著作物(振り付け等。パフォーマンスは実演として、著作隣接権により保護される。)
- 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
- 建築の著作物(ありふれた建売住宅等は対象外。)
- 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
- 映画の著作物(ゲームソフトも映画の著作物になる。)
- 写真の著作物(撮影者の個性を表現したもの)
- コンピュータープログラムの著作物(プログラム言語(Java、c言語等)、規約(プロトコル)、解法(アルゴリズム)は著作物に含まれない。)
○特殊な著作物
- 二次的著作物(翻訳、編曲、変形、翻案)
- 編集著作物(編集物であるもので、その素材の選択又は配列によって創作性を有する著作物)
- データベースの著作物(電子計算機において利用するデータベースで、その情報の選択又は体系的な構成によって創作性を有する著作物)
○保護を受ける著作物
- 日本国民の著作物(日本国籍を有している者が創作した著作物)
- 最初に日本国内で発行された著作物(最初に国外で発行されたものの、その発行の日から30日以内に日本国内において発行されたものも含む。)
- 条約(ベルヌ条約、万国著作物条約、TRIPs協定)
○権利の目的とならない著作物
- 憲法その他の法令
- 国等が発する告示など
- 裁判所の判決など
- 国等が作成する法令や判例等の翻訳物及び編集物
著作者
「著作者」とは、著作物を創作する者(自然人又は法人)。
○共同著作物の著作者(当該共同著作物を創作した各人が著作者となり、著作者の権利である著作者人格権及び著作権が共有となる。)
「共同著作物」とは、二人以上の者が共同して創作した著作物であって、その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないもの。
○職務上作成する著作物の著作者(職務著作・法人著作)
※法人が著作者となり、著作者の権利(著作者人格権、著作権)が法人に発生する。
- 法人その他使用者の発意に基づき作成されたものであること。
- 法人等の業務に従事する者が作成するものであること。
- 従業者等が職務上作成するものであること。
- 法人等が自己の著作の名義の下に公表するものであること(コンピュータープログラムの著作物は含まれない。)。
- 作成時の契約・勤務規則その他に別段の定めがないこと。
○映画の著作物の著作者
- 制作、監督、演出、撮影、美術等を担当する者。
- 映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者(映画監督、プロデューサー)。
※著作者(映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者)が映画製作会社に、映画の製作に参加することを約束していれば、著作権は映画製作会社に帰属する。
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著作権法試験問題はこのような感じです。
上記リンクからご確認下さい(*´∇`*)
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著作者の人格的権利と財産的権利
「著作者人格権(無方式主義)」とは、著作者の「人格的」「精神的」利益を保護する権利。
※著作者個人に属するものであり、他人に譲渡することも、著作者が亡くなって相続することもできない(一身専属)。
- 公表権
- 氏名表示権
- 同一性保持権(その著作物及びその題号の同一性を保持する権利。)
「著作権(著作財産権)(無方式主義)」は、著作権を構成する支分権の束とも呼ばれる。
- 複製権(手書きの複写、図面に従って建築物を完成させること等が複製に該当する。)
- 上演権及び演奏権(公衆に直接見せ又は聞かせることを目的とする。録音、録画を再生することも含む。)
- 上映権(公に上映する権利。)
- 公衆送信権・送信可能化(パブリックビューイングでお金を取ることは、公の伝達権の侵害。)
- 口述権(言語の著作物を公に口述する。)
- 展示権(美術の著作物又はまだ発行されていない写真の著作物を、これらの原作品により公に展示する権利。)
- 頒布権(映画の著作物を、その複製物により頒布(有償、無償を問わず、複製物を公衆に譲渡し、又は貸与する)する権利。)
※映画の頒布権は消尽せず、いったん譲渡され、その後の転売まで効力が及ぶ。
- 譲渡権(映画以外の著作物をその原作品又は複製物の譲渡により公衆に提供する権利(消尽する。)。)
- 貸与権(映画以外の著作物をその複製物(コピー限定。)の貸与により公衆に提供する権利(消尽しない。)。)
- 翻訳権・翻案権等(二次的著作物を創作する場合に及ぶ権利として、原著作権者に認められる。)
- 二次的著作物の利用に関する原著作者の権利(二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、著作財産権について当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。)
※原著作物の著作者に無許諾で創作された二次的著作物であっても著作権法の保護対象となり、著作者の権利は発生する。
○著作権の周辺権利
- 肖像権(自分の容貌や姿態などの自己の肖像を承諾なくみだりに撮影されたり公表されたりしない権利。判例で認められている。)
- パブリシティ権(芸能人等の著名人が、自己の氏名や肖像等のもつ顧客吸引力を営利目的等の経済的活動に独占使用できる権利。判例で認められている。人限定。)
著作権の保護期間
著作(財産)権の存続期間は、著作物の創作の時に始まり、著作者の死後70年を経過するまで存続(著作者が死亡した日の属する年の翌年1月1日から起算して、70年経過する年の12月31日まで。)。
※共同著作物の場合には、最後に死亡した著作者の死後70年経過するまでの間、著作権が存続。
※映画の著作物は、公表後70年(その著作物が創作後70年以内に公表されなかったときは、創作後70年)経過すると消滅。
著作者人格権も著作物の創作の時に始まり、(一身専属性であるため)著作者の死亡と同時に消滅。
※著作者の死亡後も著作者人格権の侵害となるような行為をしてはならない(この場合、遺族等一定の者は、差止請求、名誉回復等措置請求は可能。)。
※著作(財産)権の全部又は一部の譲渡は可能。ただし、特掲(翻訳権・翻案権等又は、二次的著作物の利用に関する原著作者の権利を譲渡の目的とする)がされていないときは、これらの権利は譲渡した者に留保されたものと推定される。
○著作権の登録制度(第三者対抗要件)
無名・変名で公表された著作物の著作権保護期間は公表後70年だが、実名の登録により著作者の死後70年の保護期間となる。
※登録により、登録年月日に最初に公表されたものと推定される。
著作隣接権
「著作隣接権」とは、著作物を公衆に伝達する者を保護するための権利。
○実演家(「実演」とは、著作物を演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演等により演ずること(著作物ではないが、芸術的な性質のあるものも含む。)。)
※俳優、演奏家、歌手、指揮者、演出家、マジシャン等。
※実演家人格権(氏名表示権、同一性保持権)に、公表権はない。
※実演を行った時から始まり、その実演の行われた日の属する年の翌年の1月1日から起算して70年を経過するまでの期間存続する。
○レコード製作者(レコードに固定されている音を、最初に固定した者(レコード会社とは限らない。)。)
※複製権、送信可能化権等の経済的保護が図られるような権利が認められる。
※貸与権(その複製されている商業用レコードの貸与により、公衆に提供する権利を専有する。)は、当該商業用レコードが最初に販売された日から起算して1年以内で政令で定める期間認められる。
※音を最初に固定した時から始まり、その発行が行われた日の属する年の翌年の1月1日から起算して70年を経過するまでの期間存続する。
○放送事業者等(放送を行う放送事業者及び有線放送を行う有線放送事業者。)
※放送又は有線放送を行った時から始まり、その放送又は有線放送が行われた日の属する年の翌年の1月1日から起算して50年を経過するまでの期間存続する。
著作権の制限(公正な利用は保護する)
「私的使用のための複製」とは、著作権の目的となっている著作物について、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること。
「公表された著作物の引用」の要件
- 引用する著作物は、公表されたものであること。
- 公正な慣行に合致すること。
- 引用の目的上、正当な範囲内で行われるものでなければならない。
- 引用箇所が明瞭に区別できるように示すこと。
- 引用した著作物の出所を明示すること。
※予備校、専門学校等は対象外。
「営利を目的としない上演・演奏・上映等(料金を受け取らない、出演者等に報酬を支払わない。)」
「プログラムの著作物の複製・翻案(利用するために必要と認められる範囲内で、複製(バックアップコピー)、翻案(バージョンアップ)が認められる。)」
「付随対象著作物の利用(写真撮影等の方法によって著作物を創作するにあたって、他人の著作物が写り込んでしまい、分離することが困難な場合。)」
著作権の侵害
「著作権の侵害」とは、著作権者の許諾を得ないで、著作物を複製したり、譲渡・貸与等する著作権の利用行為をすること(著作隣接権、著作者人格権も同様。)。
※依拠して作成されたものかどうか、実質的に同一又は類似であるかどうかを基準に判断する。
著作権等の侵害があった場合の措置
- 差止請求権(著作者(著作者人格権)、著作権者(著作権)、出版権者(出版権)、実演家(実演家人格権)、著作隣接権者(著作隣接権)が、侵害の停止・予防を請求できる。)
- 損害賠償請求権(著作権者等の権利者が、故意過失の立証をしなければならない。)
- 不当利得返還請求権(権利行使できる時から10年で時効消滅する。)
- 名誉回復等の措置請求(新聞等に謝罪広告を掲載させる等。)
- 刑事罰(故意に侵害した場合に限り適用。)
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